北里大学医学部教育研究単位衛生学単位2.カドミウム中毒における腎性貧血(エリスロポエチン産生抑制作用)

衛生学単位

2.カドミウム中毒における腎性貧血(エリスロポエチン産生抑制作用)

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カドミウム中毒における腎性貧血(エリスロポエチン産生抑制作用)

 慢性カドミウム中毒の重症例であるイタイイタイ病の患者さんでは造血ホルモンであるエリスロポエチンの腎臓からの産生が低下することによる貧血、すなわち腎性貧血の発症がしばしば認められます。そのような臨床的な観察に基づいた実験研究により、カドミウムがHep3B 細胞におけるエリスロポエチンの産生をその転写因子であるHIF-1を不活化することにより特異的に抑制すること、カドミウムを長期に投与したラットでは臓器中鉄濃度の上昇によって間接的にエリスロポエチン産生が抑制されること、などが見出されています。
 このように、当研究室ではカドミウムのエリスロポエチン産生に対する抑制作用とその機序、カドミウムによる鉄代謝異常とそのエリスロポエチン産生抑制に対する関与、カドミウムの腎臓での障害部位(近位尿細管)とエリスロポエチン産生細胞との関係、等について、in vivo、in vitroの実験研究に取り組んでいます。

  • 2.カドミウム中毒における腎性貧血(エリスロポエチン産生抑制作用):画像1

    図1 10人のイタイイタイ病患者における末梢血中ヘモグロビンと血清中エリスロポエチンとの関係及び鉄欠乏性貧血との比較。鉄欠乏性貧血の場合、貧血の程度が強くなると腎臓からのエリスロポエチン産生が亢進して血清中レベルが上昇するのに対し、イタイイタイ病での貧血ではそのような反応性のエリスロポエチン産生亢進は見られず、その血清中レベルは「正常域」に留まっている。Horiguchi H et al., Arch Toxicol 68:632–636, 1994

  • 2.カドミウム中毒における腎性貧血(エリスロポエチン産生抑制作用):画像2

    図2 Hep3B 細胞における低酸素(1%)によるHIF-1の活性化に対するカドミウムの抑制作用(Electrophoresis Mobility Shift Assay)。Horiguchi H et al., Blood 96:3743–3747, 2000

北里大学医学部 衛生学単位 2.カドミウム中毒における腎性貧血(エリスロポエチン産生抑制作用)

連絡先: 〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
堀口 兵剛

教授:堀口 兵剛

Hyogo HORIGUCHI, MD, PhD

担当科目:

予防医学系、公衆衛生学

更新日:2014年07月16日