北里大学医学部教育研究単位衛生学単位1.カドミウムによる炎症惹起作用

衛生学単位

1.カドミウムによる炎症惹起作用

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カドミウムによる炎症惹起作用

工場労働者などが誤ってカドミウムのフュームを吸引すると末梢血中の好中球増多を伴う肺水腫が惹起され、肺胞中・組織中への炎症性細胞の浸潤も観察されます。また、慢性カドミウム中毒の重症例であるイタイイタイ病の患者さんでは腎臓の近位尿細管障害とともに尿中への白血球の排出や組織中への細胞浸潤が認められます。実験研究においても、カドミウムを投与した動物では肺、肝臓、腎臓などにおいて急性・慢性中毒でそれぞれ特有の炎症反応が見られ、また各種培養細胞はカドミウムに反応して様々な炎症性サイトカインを産生します。 このように、カドミウムの毒性発現の機序において炎症惹起作用は非常に興味深い働きをしていると考えられます。当研究室ではカドミウムの炎症惹起作用におけるサイトカインの関与、カドミウムの好中球に対する影響、カドミウムによる細胞毒性と炎症反応との関係、等について、in vivo、in vitroの実験研究に取り組んでいます。

  • 1.カドミウムによる炎症惹起作用:画像1

    図1 生理食塩水(A、C)あるいはカドミウム2 mg/kg(B、D)を週2回、3ヶ月間投与したラットの腎臓(A、B)と肝臓(C、D)の病理組織像(HE染色)。腎臓では尿細管上皮細胞の萎縮と尿細管腔の拡大、及び線維化と炎症細胞の浸潤、肝臓では小葉中間性の肝細胞壊死及び炎症細胞の浸潤を認める。スケールバー:100lm。Horiguchi H et al., Toxicol Sci 122:198–210, 2011

  • 1.カドミウムによる炎症惹起作用:画像2

    図2 生理食塩水あるいはカドミウム2 mg/kgを週2回、1ヶ月あるいは3ヶ月間投与したラットの腎臓と肝臓におけるIL-6 mRNAの発現(Real time PCR)。N=8-9。*:生理食塩水投与群と有意差あり。Horiguchi H et al., Toxicol Sci 122:198–210, 2011

北里大学医学部 衛生学単位 1.カドミウムによる炎症惹起作用

連絡先: 〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
堀口 兵剛

教授:堀口 兵剛

Hyogo HORIGUCHI, MD, PhD

担当科目:

予防医学系、公衆衛生学

更新日:2016年09月15日