北里大学医学部教育研究単位解剖学(阪上)単位

解剖学(阪上)単位

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神経細胞の形づくりを制御するシグナル経路の解明

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教育について

医学部2年次の組織学講義・実習、発生学、肉眼解剖学(中枢神経系)を担当しています。組織学講義では、人体組織の細胞レベルでの構築の理解が病態の細胞レベルでの理解に必要であることを学生に意識付けるため、積極的に臨床医学との関連性を紹介し学生の向学心の喚起に努めています。組織学実習は、顕微鏡観察とスケッチにより、学生の観察力の向上とともに懇切な添削指導により論理的な図の提示方法の習得を目指しています。さらに免疫組織化学染色などの体験型の組織実習内容を積極的に取り入れています。

研究について

神経細胞は、分裂・移動・突起形成・シナプス形成などの発達過程で形態をダイナミックに変化させます。神経細胞の形を柔軟に変化する能力は複雑な神経回路網の形成と維持を可能にし、その破綻は種々の神経精神疾患を引き起こすことが知られています。当研究室では、神経細胞の形態形成における細胞内小胞輸送制御機構の重要性に着目して、細胞膜のリサイクリングに関わる低分子量GTP結合蛋白質ADPリボシル化因子6(ARF6)経路の

(1) 神経樹状突起の形成制御機構

(2) 大脳皮質や海馬の層構造や神経回路の形成過程における機能的役割

(3) 高次神経機能における機能的役割の解明

を目指しています。

神経細胞は発達過程において形態をダイナミックに変化させて複雑な神経回路を形成と維持を可能にします。この神経細胞の形態変化の分子制御機構として、細胞骨格系とともに細胞膜へ脂質・タンパク質を供給する細胞内小胞輸送機構の重要性が近年注目されています。

  • 解剖学(阪上)単位:画像1

    私たちの研究室では、細胞膜のリサイクリングに関与する低分子量GTP結合蛋白質ARF6経路に着目して、これまで、ARF6の活性化を制御するグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)が神経系において分子種特異的に多彩な遺伝子発現様式を示すことを明らかにしてきました(研究業績4−8)。さらに、ARF6に特異的GEFであるEFA6A分子が海馬神経細胞の樹状突起の形成に深く関与することを明らかにしました(研究業績8)。

  • 解剖学(阪上)単位:画像2

    これらの研究成果を糸口に、免疫電子顕微鏡によるナノレベルの発現・構造解析(研究業績3−5)、酵母ツーハイブリット法による分子ネットワークの同定(研究業績1,6)、子宮内電気穿孔法や初代海馬神経細胞への遺伝子導入(研究業績1)、さらに遺伝子欠損マウスなど多角的な解析方法を駆使してARF6経路の神経細胞の形づくりにおける制御機構と高次神経機能における役割の解明を目指します。

  • 解剖学(阪上)単位:画像3

    教室メンバーは、教員と技術職員の他、理学部からの卒業研究生と修士課程学生からなる少数精鋭で、北里大学から世界をリードする研究成果の発信を目指し鋭意努力しています。

北里大学医学部 解剖学(阪上)単位

教授:阪上 洋行 ARF6経路の神経機能解析
             カルモデュリンキナーゼの神経機能解析
講師:玉木 英明 ゴルジ装置の極性配置機構の解明
    深谷 昌弘  グルタミン酸受容体の発現解析
助教:原 芳伸   ARF6経路の神経回路形成における機能解析

連絡先: 〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
阪上 洋行

教授:阪上 洋行

Hiroyuki Sakagami M.D., Ph.D. Professor

担当科目:

組織学、組織学実習、発生学

専門分野:

神経生物学、神経解剖学、神経組織学

キーワード

神経細胞、樹状突起、棘突起、シナプス、シナプス後肥厚部、グルタミン酸受容体、シナプス可塑性、低分子量GTP結合蛋白質、カルモデュリンキナーゼ

研究室への参加者募集

私達の研究室は、最先端の形態学的解析法を駆使して神経細胞のシグナル分子の局在と機能の解析を行い、多方面の研究者との共同研究のネットワークを広げています。また、学内他科の研究者に広く研究機器と技術を開放し、多くの研究者や学生が集まる活発な研究室を目指しています。興味のある方は遠慮なくお問い合わせください。

(1)   修士課程・博士課程大学院生
大規模の研究室とは異なり「個」を大切にして、最先端の形態学的手法を丁寧に指導し、自立した研究者としての基本的能力の習得を目指します。出身学部や専門分野にこだわらず、神経細胞のミクロの世界に興味のある方の参加を歓迎します。

(2)   学部学生
春休みに毎年、組織学実習のアドバーンスコースを開講し、免疫組織化学法や電子顕微鏡試料の作製と観察などの指導を行っています。ミクロの世界の扉を自らの手で開いてみたい好奇心旺盛な学部学生は遠慮せずに研究室にお越し下さい。

主な研究業績

  1. Sanda M et al. (2010) Vezatin, a potential target for ADP-ribosylation factor 6, regulates the dendritic formation of hippocampal neurons. Neurosci. Res. in press.

  2. Théard D et al. (2010) USP9x-mediated deubiquitination of EFA6 regulates de novo tight junction assembly. EMBO J. 29:1499-1509 (2010)

  3. Katsumata O et al. (2009) IQ-ArfGEF/BRAG1 is associated with synaptic ribbons in the mouse retina. Eur. J. Neurosci. 30:1509-1516.

  4. Sanda M et al. (2009) The postsynaptic density protein, IQ-ArfGEF/BRAG1, can interact with IRSp53 through its proline-rich sequence. Brain Res. 1251: 7-15.

  5. Sakagami H et al. (2008) IQ-ArfGEF/BRAG1 is a guanine nucleotide exchange factor for Arf6 that interacts with PSD-95 at postsynaptic density of excitatory synapses. Neurosci Res. 60:199-212.

  6. Sakagami H et al. (2007) Somatodendritic localization of EFA6A, a guanine nucleotide exchange factor for ADP-ribosylation factor 6, and its possible interaction with alpha-actinin in dendritic spines. Eur. J. Neurosci. 25: 618-628.

  7. Sakagami H et al. (2006) Distinct spatiotemporal expression of EFA6D, a guanine nucleotide exchange factor for ARF6, among the EFA6 family in mouse brain. Brain Res 1093: 1-11.

  8. Sakagami H et al. (2004) Somatodendritic localization of the mRNA for EFA6A, a guanine nucleotide exchange protein for ARF6, in rat hippocampus and its involvement in dendritic formation, Eur. J. Neurosci. 19: 863-870.

更新日:2010年08月25日