北里大学医学部教育研究単位臨床検査診断学

臨床検査診断学

 チーム医療の中心的役割を果たせる全人的素養の育成を目指す

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教育について

教育目標:臨床検査医学は基本的診療能力の基礎として、医学教育、実地医療に必要不可欠であり、臨床検査の横断的な一括教育を行う専門分野として非常に重要である。医師として習得しなければならない基本的臨床検査の臨床的意義およびデータの読み方、技術的指導、効率的な検査診断の進め方などを中心に、臨床検査専門医・臨床検査管理医が学生教育を行っている。これらの教育方針により、臨床検査を自ら施行し、効率的な検査診断のできる臨床医の育成を実施している。臨床医学の高度・細分化に伴い、医療や診療サービスの質も追求される現代の医療では、特に医療従事者との連携・協力体制が必要不可欠である。したがって、生命科学・医療系総合大学の特色であるチーム医療教育にも実践の場を介して積極的に取り組み、チーム医療の中心的役割を果たせる様な全人的素養の育成を推進する。

具体的教育内容:第3学年腫瘍系では、外来診療における悪性腫瘍の基本的診断法の手順を理解させる。第4学年画像・検査診断系においては、臨床検査の臨床的意義および検査データの読み方、検査技術に関する講義を行い、臨床検査の効率的活用法を認識させる。さらに、OSCE臨床実習入門では、静脈採血手技および心電図検査を実施し検査手技の習得に努める。第5学年臨床検査診断学実習では、重要な検体・生理検査の検査手技を学ばせながら臨床的意義を習得させる。さらに、病理学・臨床検査診断学合同学生CPC (clinico-pathological conference) を実施し、病態解析に基づいた臨床検査の臨床的意義について理解させる。第6学年選択実習においては、診療参加型臨床実習により実践の場を介して、実地医療およびチーム医療を経験する。

研究について

研究概要:ヒトゲノムが明らかにされ、臨床検査の領域においても遺伝子解析の必要性が高まっている。そこで、悪性腫瘍、脂質代謝異常、感染症などの遺伝子診断として、臨床応用のできる基礎的研究を行っている。さらに、real time PCR (polymerase chain reaction) を用いて、臨床検査領域における遺伝子解析を推進し、感染症における細菌・ウイルス遺伝子などの早期診断システムを構築している。

研究主題

1)癌腫における転移機序および抑制作用、ならびに新たな腫瘍マーカーに関する研究:癌細胞由来proteinaseおよびproteinase-inhibitorの動態を解析し、これらの変動に起因する癌細胞の浸潤・転移および抑制機構を解明した。さらに、蛍光標識糖鎖分析法 (FACE: fluorophore-assisted carbohydrate electrophoresis) による血清Ig-G-N結合型糖鎖構造の解析を行い、galactose欠損IgG糖鎖の癌転移マーカーとしての臨床的有用性を検討する。(平成11, 12年度科学研究費,奨励研究A 11771512)

2)動脈硬化症の病態解析および迅速検査診断法に関する研究:粥状動脈硬化性プラーク破綻の予知的診断法、ならびに産業技術研究所との共同研究として開発した新たな血圧脈波測定機器による簡易型迅速的動脈硬化度評価システムの臨床応用を行う。(平成16, 17, 18年度科学研究費,基盤研究C 16590463) 

3)動脈硬化性疾患 (虚血性心疾患、脳血管障害) の主因である脂質代謝異常の新たな治療法の開発に関する研究:下垂体腫瘍における新規標的因子としての(プロ)レニン受容体(PRP) 機能の解明について、分子病態解析を行いPRPがV-ATPaseの機能を介してGH分泌に関与することを明らかにした(Tani Y :Sci Rep. 2015)。さらに、急性前骨髄性白血病において、レクチン酸受容体(RARa)との融合遺伝子として同定された転写因子であるPromyelocytic leukemia zinc finger protein (PLZF) に注目し、PLZFのノックダウンにより調節を受ける因子の検索において、脂質代謝pathwayへの関与の可能性を確認した。今後は、ヒト血液サンプルを用いてPLZFの絶対的遺伝子発現量と脂質代謝異常の関連性を解析し、動脈硬化への関与を解明する。

4)感染症の迅速検査診断法に関する研究:感染管理・予防の観点から新たに開発したPCRラテラル・フロー法によるMRSA (methicillin-resistant staphylococcus aureus) 遺伝子の迅速検査法の臨床応用を行う。

北里大学医学部 臨床検査診断学

教 授:狩野 有作
研究員:谷 祐至

連絡先: 〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
kanoh★med.kitasato-u.ac.jp(★を@にして下さい)
狩野 有作

教授:狩野 有作

Yuhsaku Kanoh, MD, PhD, Professor

担当科目:

腫瘍系、画像検査・診断系、臨床検査診断学実習

専門分野:

臨床検査医学、内科学

臨床について

診療面では、骨髄像鏡検、免疫電気泳動判読、腹部・頚動脈超音波検査、上部消化器内視鏡検査などの検査診断業務に加えて、総合診療部外来、検査外来 (トータルサポートセンターとの連携)を担当し、検査室だけではなく外来での検査診断、初期治療を実施する。さらに、北里大学病院・北里大学東病院臨床検査部の管理・運営業務として、診療に積極的に貢献する臨床検査部を構築し、高度細分化された臨床医学の基本的診断機能の責務を果たす。

将来への展望

国民の少子高齢化が一段と進み、医療の分野では健康科学および予防医学のニーズが一層高まることが予測される。なお、未病状態の病態診断には臨床検査値が必要不可欠であり、病態識別値としての臨床検査の重要性は益々高まるであろう。この様な状況の下、今後は臨床検査の臨床的価値がより一層問われる時代になると考える。臨床的価値とは、精度保証のある検査結果を迅速報告して診療・患者サービスに徹し、予防医学的な観点から患者QOL (quality of life) の改善、維持に対しても貢献でき、時代の変革に合わせ臨床検査の技術革新、進歩を継続していくことである。臨床検査診断学では、今後も高度・細分化された臨床医学の基本的検査診断機能を担う臨床検査部の管理・運営および検査診断業務、外来診療、ならびに臨床検査医学の教育・研究活動を積極的に実施していく。そして、教育・研究意欲を備えチーム医療の中心的役割を果たせる様な全人的素養を有する人材を輩出し、その成果を社会に還元する。

研究代表者の主な業績

  1. Kanoh Y, Masuda N, Akahoshi T: Progression of non-small cell lung cancer; Diagnostic and prognostic utility of matrix-metallproteinase-2, C-reactive protein and serum amyloid A. Oncol Rep, 29: 469-473, 2013. 
  2. Kanoh Y, Ohtani H, Egawa S, Baba S, Akahoshi T: Clinicopathological characteristic in Androgen-dependent Advanced Prostate Cancer Patients with α2-macroglobulin Deficiency. Int J Oncol, 41: 39-45, 2012.

  3. Kanoh Y, Ohtani H, Egawa S, Baba S, Akahoshi T: Changes of Proteases and Proteinase Inhibitors in Androgen-dependent Advanced Prostate Cancer Patients with α2 Macroglobulin Deficiency. Clin Lab, 58: 217-225, 2012.

  4.  Kanoh Y, Ohtani H, Egawa S, Baba S, Akahoshi T: Levels of Acute Inflammatory Biomarkers in Advanced Prostate Cancer Patients with α2Macroglobulin Deficiency. Int J Oncol, 39: 1553-1558, 2011.

  5. Kanoh Y, Ohara T, Akahoshi T: Acute inflammatory biomarkers in cerebrospinal fluid as indicator of blood cerebrospinal fluid barrier damage in Japanese subjects with infectious meningitis. Clin Lab, 57: 37-46, 2011.

  6. Kanoh Y, Egawa S, Baba S, Akahoshi T: Association of IgG N-linked oligosaccharide Chains and proteases in sera of prostate cancer patients with and without a2 macroglobulin deficiency. J Clin Lab Anal, 23: 125-131, 2009

  7. Kanoh Y, Ohara T, Egawa S, Baba S, Akahoshi T: Prognostic potential of a PSA complex in sera of prostate cancer patients with a2 macroglobulin deficiency. J Clin Lab Anal, 22(4): 302-306: 2008.

  8. Kanoh Y, Ohara T, Kanoh M, Akahoshi T: Serum matrix metalloproteinase-2 levels indicate blood-CSF barrier damage in patients with infectious meningitis. Inflammation, 31(2): 99-104: 2008.

  9. Kanoh Y, Ohara T, Tadano M, Kanoh M, Akahoshi T: Changes to N-linked oligosaccharides of human serum immunoglobulin G and matrix metalloproteinase-2 with cancer progression. Anticancer Res, 28(2A): 715-720, 2008.

  10.  Kanoh Y, Mashiko T, Danbara M, Takayama Y, Ohtani S, Imasaki T, Abe T, Akahoshi T: Analysis of the oligosaccharides of human immunoglobulin G in patients with localized or metastatic cancer. Oncology, 66(6): 365-370, 2004

更新日:2016年10月31日